今、日本でも注目されているオランダの教育方法「イエナプラン教育」。
個人の個性を伸ばすことを尊重する教育法として注目が集まっています。
2019年には、イエナプラン教育を取り入れた小学校が開講予定。
どんな教育法なのか、メリット・デメリットも含めてご紹介します。
イエナプランとは?
イエナプラン教育は、1924年にドイツ・イエナ大学のペーター・ペーターゼン教授が同大学の実験校で創始した学校教育。
このイエナプラン教育が、現在一番盛んに行われているのはドイツでなくオランダだそうです。
戦後、オランダでは働き方改革など市民主体で社会システムを変えていく動きがあり、子育てしながらでも働きやすい環境に。
外国の良いとされる教育法も積極的に取り入れ、自由に教育法を選べるようになっています。
中でも幸福な民主主義制度の担い手になる大人を育てるための教育として、イエナプラン教育が積極的に取り入れられ広がっていきました。
近年、オランダにおけるイエナプランの教育の実践が、子どもの個性やリーダーシップを育むための理想的な教育法のひとつとして、日本でも注目を浴びています。
イエナプラン教育の特徴
- 最大の特徴は、マルチエイジ(異年齢)で学級が編成されること。
- 4つの基本活動「会話・遊び・学習・催し」を巡回的に行う
- 生徒の集団を、可能な限り生の社会の反映としてとらえ構成していく。
ハンディキャップを持った子も積極的に受け入れる。
授業の中で、子供達は周りにある自然、人々、生命や世界が持っている意味などと、どう関わっていけばよいのかを学んでいく。
イエナプラン教育のメリット
- イエナプランでは1グループ(学年)を「異年齢によるクラス編成」にするのが基本。
グループ内で年少になったり年長になったりを3回繰り返しながら小学校を卒業していきます。
そのため、成績や運動に優劣なく、子どもたちが自然に「教える」「教えられる」関係ができるように。 - 円になって対話を頻繁に行う。
先生も輪に交じって話し合い、誰もが発言の機会をもちやすい。 - 遊びを重視。
企画されたものから、子ども達が自分の頭で考えた自由な遊びをすることまで大切にされます。 - イベントを楽しむ
年中行事・先生や生徒の誕生日も含め、季語哀楽を共有することによって、共同体としてコミュニケーション意識を育むことができます。 - 自由な勉強法
自分の学習スピードに合わせて子ども自身が自分で学習したり、共同で学習したり。
先生が一方的に教えるというスタイルではなく、自立学習が主体。
自分の得意、不得意を知ることができ、勉強方法を試行錯誤しながら身につけていく。 - 主体性を身につけやすい
授業のチャイムや号令がなく、子どもがそれぞれ自分の決めた時間割を意識するので、主体性をもって行動できるように。
イエナプラン教育のデメリット
- 教育者の能力が問われる
イエナプランでは教師も生徒と対等の立場にいなければ成り立ちません。
一緒の立場にいながらも子ども達の声に耳を傾けながら、教える立場でもある。
イエナプラン教育を深く理解し、基づいた言動ができる先生が必要。
必要な資質を持った先生を育てるのも大変そうですね。
日本においては、まだ実践校がないので、この教育法が国内でうまくいくのか、受けた子供が国内でどう成長していくのかわからないのが不安要素かもしれません。
日本初イエナプラン教育の学校
長野県佐久穂町に、日本初のイエナプラン教育の私立小学校「佐久穂町イエナプランスクール」が設立される予定。
2019年度開校を目指しています。
設立を計画しているのは、東京都千代田区の保育園運営会社「グローバルグループ」の中正雄一社長。
校舎は2011年に閉校した町立佐久東小学校跡地です。
中正さんが設立した「佐久穂町イエナプランスクール設立準備財団」が佐久穂町から約3300万円で購入したそう。
一学年30人ほどで、首都圏から生徒を募集予定。
幼稚園・中学校の設置も検討中だそうです。
佐久穂町イエナプランスクール
・設立者:中正雄一(一般財団法人佐久穂町イエナプランスクール設立準備財団)
・開校予定:2019年4月
・住所:長野県南佐久郡佐久穂町大日向1110(旧佐久穂町立佐久東小学校)
・クラス数:各学年1クラス(30名程度)
・児童数:180名程度(小学1年生〜6年生)
長野県には他の新設学校も!
2020年に軽井沢に開校予定の新たな幼小中一貫教育校「風越学園」。
元楽天副社長の本城慎之介さんが理事長、東京学芸大学大学院准教授の岩瀬直樹さんが副理事長を務めることで注目を集めています。
こういった学校に子供を入学させるために首都圏から移住する方もいらっしゃるかもしれないですね!
おすすめ本
→オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ
オランダの「個別教育」の背景にある「イエナプラン教育」を紹介。
付録にはモンテッソーリなど、他の教育法との比較表があります。
全体的に読みやすく、今後の教育改革に期待したいと思う内容。
(尾木 直樹・リヒテルズ 直子 (著))
日本の管理強化教育が子ども達から幸せを奪ってしまった。
子どもが世界一幸せだと言われるオランダとの比較で、日本の改善策を考えさせられます。
→世界一子どもが幸せな国に学ぶ愛をもって見守る子育て [ ナオコ・リヒテルズ ]
子供の担任の先生もオススメしてくれた本。
日本の社会制度では(父親の育児休暇やパートタイムなど)実践できないことも多く書かれていますが、ベースになる子供への向き合い方、考え方はとても参考になりました。
まとめ
日本初のイエナプラン教育を取り入れた学校、どんな学校になるのか楽しみです。
良い教育法がどんどん広まっていくと良いですね。
読んでいただきありがとうございました。
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